季節は巡りゆく。思い出だけを残して―。
パリで静かな暮らしを楽しんでいた祖母が突然、姿を消した―。 ロマンは彼女を探す旅に出る。 手掛かりは祖母の記憶のどこかにあるはず…。 パリとノルマンディーを舞台に、人生の輝きを描き出す3世代の物語。
主題歌はフランソワ・トリュフォー監督作『夜霧の恋人たち』でおなじみのシャルル・トレネの名曲『残されし恋には』。また、ロマンが夜番するホテルの名前と建物を、『夜霧~』でJ=P・レオ演じるアントワーヌが働いていたホテルと同じものに設定するなど、古き良き時代のパリへの嬉しい目配せを感じさせる。
対称的な美しさを放つパリとエトルタを舞台に、3世代の家族が人生を取り戻す光景には、寒い冬に心がじんわり温まるだろう。観た後に家族の声を聞きたくなる感動作が、ついに公開!
―この作品では異なった3つの世代の、人生の通過儀礼の軌跡を描いています。青年、父親、祖母…
人生を語るのは非常に難しい事ですが、これ以上に興味深いことはありません。日常生活、普通の人々とその経歴が私を魅了するのです。これが監督として作りたい、観客として見たい映画で、とてもフランス的です。
―最初は「パリ風」のこの作品は、急変をすることなくエトルタに舞台を移します。このノルマンディーでの息抜きは重要だったのでしょうか?
物語が枝分かれしていく中で舞台を変える瞬間はあるものです。急変がないのはパリを地方の都市のように撮影しようと心がけたからだと思います。パリであろうとエトルタであろうと、人生や人々に眼を向けたという感覚があり、これが作品にまとまりを持たせ、2つの街を結びつけているのです。例えば反響し合っている2つのシーンがあります。青年がエトルタのカフェのドアを押すと同時に父親がパリのカフェの中に入って行きます。
―異なる領域の人達が撮影現場には集まったのですね…
アニー・コルディ、ミシェル・ブラン、シャンタル・ロビーと私には共通点があることに気付きました。オペレッタ、カフェ・テアトル、もしくはTVでのコントです。私たち全員が同じ経験をしているのです。俳優として、同じような系列に属していると思いました。