1967年ケベック州生まれ。同世代のケベックの映画監督の中で、抜きん出て才能があるドゥニ・ヴィルヌーヴは、そのユニークな映像スタイルと物語の話術で、批評家と観客の双方に強い印象を与えてきた。98年のデビュー作"Un 32 Aout Sur Terre"は、カンヌ映画祭ある視点部門、テルライド映画祭、トロント国際映画祭などを含む32の映画祭で上映された。00年の2作目『渦』はサンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭、トロント国際映画祭など30以上の世界各地の映画祭で上映され、ベルリン国際映画祭国際批評家協会賞、SACD賞、ジュトラ賞9部門、最優秀作品賞と監督賞を含むジニー賞8部門など25の賞を受賞。また同年短編作品"Next Door"が、カンヌ映画祭批評家週間でカナルプリュス最優秀作品賞に選ばれた。同作は世界中の150を超える映画祭で上映され、50近い賞を受賞した。長編3作目"Polytechnique"はカンヌ映画祭監督週間部門で上映され、ヘルシンキ、ストックホルム、ロンドン、台北、ヒホンなどで上映され、トロント批評家連盟によって最優秀カナダ作品賞に選ばれている。本作『灼熱の魂』でも現在30を超える世界各地の映画祭で絶賛され、カナダのアカデミー賞であるジニー賞で8部門を受賞、米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた。
■REW FFWD [1994/31分/16-35mm]
ニューヨークフィルムアカデミー賞--ロカルノ映画祭(1994)
■Cosmos [1996/99分/35mm](6つの短編映画)
エッサイ賞--カンヌ映画祭監督週間/アカデミー賞外国映画賞カナダ代表
■Un 23 aout sur Terre (August 32nd on Earth) [1998/88分/35mm]
ある視点部門公式上映--カンヌ映画祭(1998)/最優秀作品賞--ナムール祭(1998)/ジュトラ賞(最優秀主演女優賞)--モントリオール(1998)/最優秀作品賞、最優秀監督賞--サンジャンデルス祭 フランス(1998)/アカデミー賞外国映画賞カナダ代表/公式上映--カンヌ、トロント、テルライドほか(35の国際映画祭で上映)
■『渦』 [2000/87分/35mm]
国際批評家協会賞--公式上映 ベルリン国際映画祭(2001)/ジニー賞5部門受賞(作品、監督、脚本、主演女優、撮影) トロント(2001)/ジュトラ賞9部門受賞(作品、監督、脚本、主演女優、撮影ほか) モントリオール(2001)/最優秀作品賞、最優秀監督賞--ブラスティラヴァ映画祭 チェコ共和国(2001)/特別賞--最優秀カナダ映画賞 トロント国際映画祭(2000)/最優秀カナダ映画賞 モントリオール世界映画祭(2000)/特別賞 撮影部門--モントリオール世界映画祭(2000)/公式上映--サンダンス、ベルリン、トロント、ほか40以上の国際映画祭出品/アカデミー賞外国映画賞カナダ代表
■Next Door [2008/12分/35mm]
カナルプリュス最優秀作品賞--カンヌ映画祭批評家週間(2008)/ディレクターズチョイス賞--ロードアイランド国際映画祭 アメリカ(2008)/グランプリ--第14回短編映画祭 ギリシア(2008)/最優秀フィクション映画賞--イズミール国際短編映画祭 トルコ(2008)/最優秀短編作品賞--セントルイス国際映画祭 アメリカ(2008)最優秀短編作品賞--ウィスラー映画祭 カナダ(2008)/60以上の映画祭で上映
■Polytechnique [2009/77分/35mm]
監督週間--カンヌ国際映画祭(2009)/最優秀カナダ映画賞--トロント批評家連盟賞(2009)/Bayard 7DOr --ナムールフランス語映画祭(2009)/公式上映--ヘルシンキ、ストックホルム、ロンドン、台北、ヒホンなど
1968年ベイルート(レバノン)生まれ。75年に始まったレバノン内戦から逃れるため8歳のときに故国を離れる。家族との亡命生活はフランスに始まり、1983年にカナダ・モントリオールに永住するまで続いた。その地で演劇を学び、国立演劇学校で俳優のディプロマを取る。91年に卒業し、テアトル・オ・パルルールを設立。俳優、劇作家、演出家として数々の作品を送り出す。1997年の「Littoral(沿岸)/頼むから静かに死んでくれ」でカナダ総督文学賞を受賞。続く「Rêves(夢)」、「Incendies(火災)/焼け焦げるたましい」、そして「Forêts(森)」でも同じような経験を積んでいった。2000年−2004年にはモントリオールの三文劇場Théâtre de Quat'Sousの芸術監督を務め、02年フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。05年、モントリオールに劇団アベ・カレ・セ・カレ、パリに劇団オ・カレ・ド・レポテニューズを創立。07年、オタワのカナダ国立芸術センター・フランス語劇場の芸術監督に就任。09年アカデミー・フランセーズ演劇大賞を受賞、アヴィニオン演劇祭の提携アーティストとして「約束の地」四部作を上演。
1997「Littoral(沿岸)/頼むから静かに死んでくれ」(「約束の血」四部作第一部) *10年日本上演
2000「Rêves(夢)」
2003「Incendies(火災)/焼け焦げるたましい」(「約束の血」四部作第二部) *09年日本上演
2006「Forêt(森)」(「約束の血」四部作第三部)
2008「Seuls(一人)」
2009「空Ciels」(「約束の血」四部作完結編)
他に演出家として「マクベス」、「オイディプス王」、「トロイアの女」、「ルル」、「作者を捜す六人の登場人物」、「三人姉妹」などを演出。
*戯曲Incendiesは03年3月14日にフランス、メランのHexagone Scène Nationaleで初演され、続く5月23日にケベックのTheatre de Quat'sousで第10回アメリカ演劇祭のプログラムのひとつとして上演された。初演後、この戯曲はカナダ各地(英語題はSocrched)、フランス、ベルギー、スイス、フィンランド、オランダ、日本、メキシコ、ドイツ、スペイン、アメリカ、オーストラリア、エストニア、イタリアなどで上演されている。