Music & Interview | 使用楽曲&インタビュー

使用楽曲&インタビュー

  • 1.ロベルト・シューマン:ピアノ協奏曲イ短調Op.54〜第1楽章
  • 2.ヨハネス・ブラームス:ピアノ・トリオ第1番 ロ長調Op.8〜第2楽章
  • 3.ロベルト・シューマン:交響曲第3番 変ロ短調「ライン」Op.97〜第1楽章、第2楽章
  • 4.ヨハネス・ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番 嬰へ短調Op.2〜第1楽章
  • 5.ロベルト・シューマン:色とりどりの小品Op.99〜第4曲「音楽帖第1番」
  • 6. ヨハネス・ブラームス:子守歌Op.49-4
  • 7.ロベルト・シューマン:ピアノ・ソナタ第1番 嬰へ短調Op.11〜第1楽章
  • 8.ヨハネス・ブラームス:ハンガリー舞曲集〜第5番 嬰へ短調
  • 9.ロベルト・シューマン:幻想小曲集 Op.12〜第1曲「夕べに」
  • 10.クララ・シューマン: ロマンス・ヴァリエ(ピアノのためのロマンスと変奏)Op.3
  • 11.ロベルト・シューマン:クララ・ヴィークのロマンスによる即興曲
     (クララ・ヴィークの主題による10の即興曲)Op.5
  • 12.ヨハネス・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ニ短調Op.15〜第1楽章
     (本編登場順)
 

※以下の楽曲リストは、ヘルマ・サンダース=ブラームス監督作成の音楽キューシートに基づくもので、本編エンドロールのクレジットとは若干異なります。

−クララ・シューマンという素材を選んだ理由はなんでしょう?
ご自身の血筋がきっかけですか?

ええ確かにヨハネス・ブラームスとは血縁にあたりますが、私はクララともつながりを感じています。というのも、彼女もアーティストであると同時に女性であり、自分の芸術的才能を発揮するために闘いながら、一方で結婚していて夫や子供たちを大事にしていたからです。100年以上も前の出来事ではありますが、現代の多くの女性も経験している葛藤を描いています。そして何より美しい音楽の世界で活躍する女性であることに興味がありました。

−ブラームス家の末裔とのことですが、
ヨハネス・ブラームス本人は監督の何にあたるのでしょうか?

ヨハネスの叔父の子孫にあたります。ヨハネス自身は子供がいませんでしたし、彼の兄弟にも男の子がいなかったのです。

−キャスティングについて教えてください。
マルティナを選んだ理由はなんでしょうか?

彼女はクララと同じように複雑な面を持った女優です。美しく、才能があり、撮影の時にはとても集中している。一方で生き生きとした女優で、官能的でセクシーでもある。非常に存在感があり、魅力的な人なので彼女を選びました。クララもステージの上ではとても存在感があったという記録が残っています。

−女性監督として数々の女性を描き、その心情を繊細に表現してこられましたが、
この作品ではクララをどのように描きたかったのでしょう?

"偉大な名声を得た音楽家として"でないことは確かです。彼女は他の音楽家と比べてもより生き生きとした人間的なアーティストでしたが、同時に少女のような部分も持ち合わせていました。クララはヨハネスより14歳年長でした。当時女性が男性よりも14歳年上というのはとても大きく、出会った時、ヨハネスが20歳で、彼女は34歳でした。今ではまだ若いといえる年齢ですが、当時としては年老いたと言ってもいい年齢です。ですから私は彼女の美しさを見せたかった。映画の最後の方でヨハネスの曲を演奏するクララは、映画の冒頭よりも美しいのです。なぜなら数々の葛藤や闘い、そして夫の死を経験して、新たな境地に達し、新しいスタイルを築き上げたから。マルティナはそうした一人の女性がたどってきた人生の様々なステージを表現することができる素晴らしい女優でした。

−クララは出産・育児に追われて思うように音楽活動が出来なかったが、
監督の思う「女性の幸せ」とは何でしょう。

もちろん幸せというのはひとつではありません。夫と一緒のときに幸せと感じることもあれば、舞台上で幸福な瞬間を得ることもあれば、一人でいるときに幸せをかみしめることもあるでしょう。朝から晩までずっと幸せということはないのではないかと私は思います。幸福というものはいつも短くやってくるものなのです。クララはステージの上で一番の幸せを感じていたのだと思います。

−ロベルトの死後、ヨハネスを受け入れず、
二人への思いを胸にクララは一人で生きていきますが・・・。

彼らの置かれた状況は単純ではありませんでした。彼女はもちろんヨハネスにとても惹かれていましたし、ヨハネスも彼女を愛していましたが、クララは一人で生きることを決心したのです。彼女は再び誰かの妻になろうとは考えませんでした。

−クララにとってロベルトが、そしてヨハネスがどんな存在だったと
監督は解釈していますか?

クララはヨハネスについて語るときは、いつも"私の一番上の息子"と呼んでいました。実際自分を彼の母親的存在だと感じていましたが、彼女がヨハネスに抱いていた感情はそれだけではありません。映画の最後の方で二人がベッドに横たわり、ヨハネスがクララに触れるシーンがありますが、彼女はその行為を嫌がってはいません。若い男性から崇拝されることを嫌っていた訳ではなく、むしろ嬉しく思っていたはずです。
ロベルトはクララの人生の伴侶でした。彼女はロベルトに献身的に尽くしました。だから彼がいなくなったことによって、喪失感でどうしたらよいのかわからなくなったと思います。同時に彼女は再生の道を歩み始めます。彼女にとって自分自身であることもとても大事だったのだと思いますね。

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  • 監督・脚本:ヘルマ・サンダース=ブラームス 出演:マルティナ・ゲデック パスカル・グレゴリー マリック・ジディ原題:Geliebte Clara/2008年/ドイツ・フランス・ハンガリー合作/ドルビーSRD/ビスタサイズ/109分/字幕翻訳:吉川美奈子 提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム