エルサレムやローマと並ぶキリスト教の3大聖地のひとつ。フランスからピレネー山脈を越えて続く巡礼路は約1200年の歴史を持つ。巡礼者数は年々増えており、統計を取り始めた1985年が3千人、以降92年:1万人、2000年:6万人、07年10万人。中でも聖ヤコブ年は人気で93年:10万人、99年:15万人、04年:18万人、10年:27万人。次の聖年は2021年。
巡礼者にとって、ホタテ貝と瓢箪と杖は"三種の神器"と呼ばれている。ホタテ貝は4世紀ごろには巡礼者のシンボルとなっていたが、サンティアゴ・デ・コンポステーラのあるガリシア地方の名産物であり、巡礼を終えた証拠として自分が食した貝殻を持ち帰ったのが始まりとも言われているが、由来は様々。瓢箪は水筒やペットボトルがなかった時代に水を持ち運ぶために使われた。杖はその昔、狼やならず者に襲われたことも多々あり、身を守るためや、本来の杖として体を支えるために使っていた。
なれない海外の地、道に迷わないかと不安になりがちだが、実際に歩いてみると「黄色い矢印」が強い味方になってくれる。これは分岐点など迷いそうなポイントごとに描かれており、石畳の上、木の幹、家の壁など、さまざまな場所で巡礼者が進むべき道を示してくれている。巡礼者にとっては、ホタテ貝に次ぐ巡礼のシンボルと言えるだろう。
巡礼のベストシーズンは一般的に5〜6月と、9月と言われている。5〜6月は麦畑や牧草地などの緑が鮮やかに輝き、色とりどりの花も咲いて景色が楽しめる。9月は日差しは強いものの雨が少なく歩くのに心地よい、ブドウやベリーなどの果物が実り秋の味覚が楽しめる季節。日本の夏休みにあたる7〜8月は日差しが容赦なく照りつけるため巡礼には厳しい季節だが、早朝から午前中に動くと良い。