1935年12月1日、ニューヨーク州ブルックリン生まれ。60年代の初め頃から、グリニッジ・ヴィレッジの舞台でスタンダップ・コメディアンとして活躍。65年、脚本も手がけた『何かいいことないか子猫チャン』で映画俳優デビューを果たし、69年の『泥棒野郎』で本格的に監督業に進出。ポップカルチャーのパロディやシュールなギャグを主体としたスラップスティックな作風のコメディ映画で人気を集める。
70年代中盤以降は、より洗練され、都会的なロマンティック・コメディへ作風を移し、77年、当時の恋人だったダイアン・キートンと共演した『アニー・ホール』でアカデミー賞4部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞)を受賞。80年代以降は、イングマール・ベルイマンやフェデリコ・フェリーニといったヨーロッパ映画界の巨匠たちの影響を受け、より成熟したドラマ映画にも挑戦。アカデミー賞で3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)に輝いた『ハンナとその姉妹』(86年)をはじめ、私生活のパートナーだったミア・ファローと共演した『カメレオンマン』(83年)や『ブロードウェイのダニー・ローズ』(84年)などの傑作を立て続けに発表。
現代のアメリカを代表する名監督としての地位を揺るぎないものとしていく。
作風的に円熟期を迎えた90年代以降も、『夫たち、妻たち』(92年)、『誘惑のアフロディーテ』(95年)、『地球は女で回ってる』(97年)などの人気作を、ほぼ1年に1本のハイペースで発表しつづける。00年代に入ってからは、スカーレット・ヨハンソン主演の『マッチポイント』(05年)や『それでも恋するバルセロナ』(08年)が世界中で大ヒットを記録し、若い世代の映画ファンからも絶大的な支持を集めている。
私生活では、二度の離婚を経て、96年にミア・ファローの養女で、当時22歳だったスン・イー・プレヴィンと結婚。タブロイド誌で大々的に取り上げられ、スキャンダルな注目を集めた。また、ニューオーリンズ・ジャズの熱狂的なファンであることでも知られ、クラリネット奏者としての息の長い活動歴もファンの間ではおなじみとなっている。
デビュー以来、ほとんどの作品でニューヨークを舞台としていることでも有名だが、05年の『マッチポイント』以降は、ロンドンやバルセロナなど、ヨーロッパを舞台とした作品が続いた。本作『人生万歳!』は、『メリンダとメリンダ』(04年)以来、久しぶりに全編がニューヨークで撮影され、多くのファンから大歓迎を受けた作品でもある。
次回監督作は、初の全編パリでの撮影となった『Midnight in Paris(原題)』(※全米2011年公開予定、主演:オーソン・ウィルソン、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス他)。