1993年、春。養護施設出身で札付きのワルだったヒスは、釜山港の外れの街クアムを牛耳るソンに拾われ、その右腕として一帯を仕切っていた。小さな海水浴場に観光ホテル、屋台に風俗店。こんな小さな港でも、その利権を狙う奴らがしのぎを削っていた。一方、クアムに目を付けたヨンド派は、ヒスと共に施設で過ごした親友チョルジンを使い、ヒスを懐柔しようとしていた。しかし、ヤクザ稼業に嫌気がさしていたヒスの望みは、クアムでのし上がっていくでもなく、ヨンド派で金を稼ぐのでもなく、施設時代からの恋人インスクと一緒に、巨済島でペンションをやりながら暮らすことだった。そして、ヒスはソンの元を訪れ組織を抜けたいと告げるが―。